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切り抜き情報

各種報道機関やメディアで紹介された中から
病気やからだについての情報を掲載しています。


健康は肥満対策より禁煙・節酒(毎日新聞)

「健康は肥満対策より禁煙・節酒」
 (毎日新聞) 2009年1月30日

 

厚労省研究班が、全国8県に住む40~69歳の約9万6千人を対象に、生活習慣に関するアンケートを行い、約10年追跡調査した。

 

その結果、がんや心筋梗塞などの循環器疾患を起こさないで、今後の10年間を生きる可能性が最も高いのは、「禁煙、月1~3回の飲酒、BMI(体格指数)25~27」の人であることが調査結果に基づく推計で判明した。

 

逆に、調査対象年齢の人が、10年間にがんか循環器疾患を起こすか、死亡する可能性が最も高いのは、男性が、「1日40本以上喫煙、週に日本酒2合相当以上の飲酒、BMI 30以上」、女性が、「喫煙、同1合相当以上の飲酒、BMI 30以上」だった。

 

たとえば50~54歳の男性で、最も不健康な条件の人が10年間にがんを発症する割合は、健康な条件の人の2.8倍、循環器疾患は4.8倍に達した。
がん循環器疾患にならないで生存している割合は81%にとどまった。

 

 一方、BMI 30以上の人が同25~27に下げても、平均的な生活習慣の男性の生存率とほとんど変わらなかった。ところが、禁煙や節酒の取組を組み合わせると、大幅に向上した。

 

主任研究者の津金昌一郎、国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長は「がん、循環器疾患を減らすには、肥満対策より、まず禁煙、節酒を推進することが重要。

国民全体の健康対策として取り組む場合、肥満中心の手法は適切ではない可能性がある」と、肥満改善を重視する現在の特定健診(メタボ健診)に疑問を投げかけた。米医学誌電子版に発表した。


BMI:国際的に肥満度を示す指標として使われている。
 体重(kg)×身長(㍍)の2乗で算出する。

日本肥満学会は、「18.5未満」をやせ、
「22」を標準「25以上」を肥満とする。


政府が推進する「健康日本21」やメタボ健診では、25以上の人にやせることを推奨している。


「遺伝病は誤解」Dr.中川の癌を知る
 (毎日新聞) 平成21年1月27日

 

がんは、簡単に言えば、遺伝子(DNA)の複製の失敗が原因です。

遺伝子の複製ミスによってキズが積み重なり、「死なない細胞」が生まれます。

そして、これを免疫機能が取り逃がして生き残った、たった一つのがん細胞が10年以上の時間を経て、検査で確認できる「がん」になります。

 

「遺伝子がかかわる」といっても、がんは遺伝病とは言えません。
DNAの複製失敗、免疫の取りこぼし、というミスが重なった結果できる病気です。

このミスの確率を左右するのは、喫煙、食生活、運動などの生活習慣です。

 

特に、たばこは最もミスを誘発する要因です。たばこを吸わず、野菜中心の食事を心がけ、お酒や塩分を控えて、定期的に運動すれば、 がんになるリスクを半分くらいにまで下げられます。このため、がんは「遺伝病」ではなく、「生活習慣病」と言えます。


ところが、社会には「がんは遺伝する」という誤解がまだあります。
確かに、一家そろって、がんになった例は珍しくありません。たとえば、ご主人が家の中でたばこを吸えば、本人だけでなく家族もがんになる可能性が高くなります。

 

そもそも、日本人の2人に1人ががんになりますから、3人家族の全員ががんになる確率は、計算の上では8分の1になり、珍しいわけではありません。

 

ハワイに移住した日本人の子どもたちは、2世、3世になるにしたがって、胃がんが減り、乳がんや前立腺がんといった欧米型のがんが増えます。
ブラジルに移民した場合には、胃がんはあまり減らず、乳がんや前立腺がんもそうは増えません。

ブラジルの食生活が欧米より日本に近いためです。人種や遺伝より生活の方が、がんの発症に影響を与えるのです。

 

また、一卵性双生児はまったく同じ遺伝子を持って生まれますが、2人が同じがんになる確率は10%程度です。
もし、がんが遺伝病で、親からもらった遺伝子によってどんながんになるか決まっているのであれば、一卵性双生児には同じがんができるはずです。

がんは生活習慣病なのです。

  (中川恵一、東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)


「人と犬、きずな強めるホルモン」(多くの報道機関)


平成21年1月26日多くの報道機関が報じた記事に、相手への信頼感やきずなを強める働きのあるホルモン「オキシトシン」についての研究結果のことが載っている。

 

オキシトシンは、ほ乳類の母子関係や夫婦のきずな形成に関係するホルモンとされているが、このほど麻布大と自治医大の研究グループが異種間でも作用することを確認した。

 

研究グループは、55組の飼い犬と飼い主で実験。
室内で1組ずつ、30分間触れ合ってもらい、実験前後の飼い主の尿に含まれるオキシトシンの濃度を測定した。


その結果、事前アンケートで犬との関係が「良好」と判断された13人では実験後に濃度が大きく上昇したが、「普通」の42人では変化が無かった。

 

「良好」群の実験後の濃度は、約1.5倍と高かった。
「良好」群の実験を撮影した映像を分析すると、犬が「遊ぼうよ」と飼い主を見つめたのをきっかけに交流した回数が多いほど、実験後の濃度が高くなっていた。

 

一方、犬に顔を見せないよう飼い主が壁を向いたまま触れ合う実験では、55組すべてで濃度変化は現れなかった。

 

「目は口ほどにものを言う」という言葉があるが、アイコンタクトは人間にとっても、ほ乳類にとっても、重要なコミュニケーションの手段であるということがいえそうです。


「梅毒の現状」
  (毎日新聞)2009年2月17日

 

最近では一般的に耳にすることがあまりなくなった「梅毒」ですが、最近また増えているということが記されています。
一つの警鐘になる記事だと思いますので、お気を付け下さい。

 

梅毒:患者急増 20-24歳女性、4年で3倍超 


母子感染も梅毒患者の報告数がここ数年、急増していることが国立感染症研究所のまとめで分かった。
感染を知らず出産し、子供が先天梅毒になるケースもある。同研究所は予防と検査を呼びかけている。


感染研によると、梅毒患者数は抗生物質など薬剤開発により戦後減少傾向だったが、03年以降、再 び増え始めた。
03年に509例だった報告数は06年に600例を超え、07年737例、08年は823例と毎年100例近く増え続けている。


男性では 35-39歳、女性では20-24歳の割合が高い。
20-24歳の女性は03年15例だったのが、07年には49例と3倍以上に増えた。
母子感染による先天梅毒は06年に10例、08年は7月末現在で7例報告。
妊娠中に夫から感染し たとみられる症例もあった。


先天梅毒の子供の4割は妊娠中か生後1週間までに死亡するといい、感染症情報センターの多田有希室長は「妊婦検診を必ず受け、 感染が判明したらきちんと治すことが大事だ。
妊娠後期に2回目の検査もしてほしい」と警告する。


梅毒は細菌「梅毒トレポネーマ」が引き起こす性感染症で、国内では99年以降、感染を確認したら すべて保健所に届けるよう義務付けている。


性感染症に詳しい斎田幸次・斎田マタニティークリニック(大阪府河内長野市)院長は
「不特定多数と性行為をする 風潮が原因ではないか。(感染を防ぐ)コンドームの出荷数も減少しており、感染増加との関連が示されている」と話す。
【関東晋慈】


「誤 飲」(読売新聞) 平成21年2月22日

乳幼児の誤飲について掲載されていましたので、参考に抜粋して記載します。

 

■たばこ
乳児の誤飲で最も多い。丸ごと1本など大量に飲み込むと、急性のニコチン中毒で嘔吐や体の震えなどの症状が出ることがある。

この場合、胃洗浄でたばこを体外へだすが、東京医大病院救命救急センター(東京都新宿区)の織田さんの経験上、それほど大量に食べてしまうケースは多くない。

「吸い殻を1本、2㌢くらいで、特別な症状がなければ、あわてなくても大丈夫」とアドバイスする。
たばこが体内で吸収される2時間ほど様子を見て、症状があれば医療機関へ。なければ後は便となって出てくる。

毒性を薄めようと、水を飲ませるのは厳禁。
たばこの成分は水に溶けると体内で吸収しやすくなる。
灰皿の水などを誤って飲んだときは、症状が出ないか特に要注意だ。


■石油を使った製品
ガソリンや灯油、ベンジン、液体蚊取り、化粧品ではマニキュアや除光液があり、この場合も、水を飲ませてはいけない。吐かせようとするのも危険だ。

石油は一滴でも肺に入ると重い肺炎を起こすとされ、吐かせると肺に入る危険が増す。
水を飲ませても、石油は薄まらず、むしろ嘔吐を誘発する刺激になる。
誤飲したときは、ただちに医療機関へ。


■強酸性や強アルカリ性
カビ取りやトイレ、換気扇用などの洗剤や、染毛剤など。

これらを飲むと口から食道などの粘膜がただれる。これらは水を飲ませたうえで医療機関を受診するのが望ましい。

医療機関では、粘膜保護剤や胃酸を抑える薬が使用され、入院となることも多い。

吐かせると、食道や口がもう一度強酸、強アルカリにさらされるので良くない。


■エタノールを含む製品
香水、化粧水、ヘアトニックなどに含まれ、水を飲ませて薄める。

大量に飲むと急性アルコール中毒を起こし、吐いたり、体がふらふらしたりする症状があれば、受診する。


■固形物
小さなおもちゃや文房具、ピーナッツなどナッツ類、もち、こんにゃくゼリーなどを飲み込み、気道をふさいでしまう場合がある。

ただちに顔を下向きにして、体を支え背中をたたくなどして吐き出させる。
飲み込んで胃に落ちれば、多くは便とともに出てくる。
飲み込んだのが古い電池なら、受診した方が良い。

 

◆乳幼児が誤飲したときの応急手当

(たばこ)
 ・たばこの葉
 ! 吐かせなくても良い 
   水を飲ませてはいけない
   症状があれば医療機関へ

 ・灰皿の水
 ! 吐かせなくても良い   
   水を飲ませてはいけない
   ただちに医療機関へ

 

(石油製品)
 ・灯油、ベンジン、ガソリン
 ! 吐かせてはいけない   
   水を飲ませてはいけない
   ただちに医療機関へ

 ・マニキュア、除光液
 ! 吐かせてはいけない   
   水を飲ませてはいけない
   ただちに医療機関へ


(洗剤など)
 ・強酸性、強アルカリ性の洗剤(カビ取り用、  トイレ用、換気扇用など)
! 吐かせてはいけない   
  水を飲ませる
  ただちに医療機関へ

 ・弱酸性、中性、弱アルカリ性の洗剤(台所  用、洗濯用、風呂用など)
! 吐かせなくてもよい    
  水を飲ませる
  症状があれば医療機関へ 

 ・漂白剤、染毛剤
! 吐かせてはいけない   
  水を飲ませる
  ただちに医療機関へ


(エタノールを含む製品)
 ・香水
! 吐かせなくてもよい    
  水を飲ませる
  ただちに医療機関へ

 ・化粧水、ヘアトニックなど
! 吐かせてはいけない  
  水を飲ませる
  症状があれば医療機関へ


(その他)
 ・シャンプー
! 吐かせなくてもよい   
  水を飲ませる
  症状があれば医療機関へ 

 ・石けん
! 吐かせなくてもよい  
  水を飲ませる
  少量なら問題なし

 ・クリーム、口紅、ファンデーションなど
! 吐かせなくてもよい    
  水を飲ませる
  少量なら問題なし


(固形物)
 ・小さなおもちゃ、文房具、ナッツ類、もち、こ  んにゃくゼリーなど
! 気道をふさいでいる場合はただちに吐か  せる
! 水を飲ませるどうかは場合による
! 医療機関への受診は緊急の場合もある

 

※ 中毒110番「日本中毒情報センター

つくば:電話 029-852-9999
         (9:00~21:00)

大 阪:電話 072-727-2499
           (24時間)


「本当に生活習慣病?」Dr.中川の癌を知る(毎日新聞) 平成21年2月24日

 

胃がん、子宮頸がん、肝臓がんができる過程には、それぞれピロリ菌、ヒトパピローマウイルス、肝炎ウイルスが関係しています。

そして、これらの「感染症型」のがんによる死亡は、衛生環境の改善によって減ってきています。

 

また、ピロリ菌の除菌治療、ヒトパピローマウイルスやB型肝炎ウイルスに対するワクチン接種によって、がんの発症を予防することもできます。

ただ、こうした感染症型のがんでも、喫煙や飲酒によって発がんのリスクは高まります。

感染症型のがんとは反対に、最近増えているのは肺がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんといった「欧米型」のがんで、喫煙や飲酒、欧米型の食生活などが背景にあり、生活習慣病の面が強いとされます。


一方、どんなに「聖人君子」のような生活をしていても、がんは完全には避けられません。

私の部下で、東京大病院の放射線治療医だった加藤大基医師は、たばこは吸わず、お酒もほどほど、野菜中心の食事や運動を心がけ、標準体重を保っていました。まさに「聖人君子」だったといえますが、34歳で肺がんが見つかりました。
定期的にエックス線検査を受けていたので、見つかったがんは1センチ以下でした。

治療を受け、現在はほぼ完治した状態で、今年4月から大学病院のがん治療の現場に復帰します。

 

では、加藤医師が肺がんになった理由は何でしょうか。あえて言うなら、「アンラッキー」だったということになります。

「がんは生活習慣病」と紹介した原稿には、読者の皆さんから「食事にも運動にも人一倍注意してきたが、がんになった」などの声が届きました。
おおまかな言い方ですが、がんの原因が10あるとすると、そのうち3がたばこ、2~3がたばこ以外のすべての生活習慣で、のこりのおよそ5は人間の力の及ばない部分といえます。

 

つまり、「聖人君子」の生活をしても、がんの危険を半分までしか下げられないのです。

がんにならない生活習慣は大事ですが、それでもがんになる可能性は残ります。
がんの検診を定期的に受け、早期発見を目指すのはこのためです。


  (中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)


「体格指数BMI22.5~25死亡率最低」
(読売新聞) 平成21年4月21日

世界90万人のデータ分析


英国心臓財団などの研究グループは、肥満の程度を表す体格指数「BMI]が、22.5~25の人だと死亡率が最も低いとする研究成果を、英医学誌「ランセット」に発表した。

 

BMIは、体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った数。

英国の研究グループは、BMIと死亡率との関係を調べている欧米を中心とした世界57の研究について、約90万人分のデータを分析した。

 

その結果、BMIが22.5~25の範囲より高くても低くても、死亡率が増加した。
この範囲を超えた場合、心臓病や糖尿病、腎臓病などが原因で死亡する人が多く、BMIが30~35だと2~4年、40~45だと8~10年、寿命が短かった。一方、BMIが22.5未満の場合には、呼吸器系の病気や肺ガンなどで死亡する割合が高くなった。

 

日本肥満学会は、日本人のBMIの標準値を22とし、18.5未満は「やせ」、25以上を肥満としている。


「お酒弱いのに飲酒喫煙食道がんのリスクは190倍」(読売新聞) 平成21年5月14日


顔がすぐに赤くなるお酒に弱い体質の人が飲酒と喫煙をすると、食道がんになるリスクが、飲酒も喫煙もしない人に比べ、最大190倍も高くなることが、東京大学の中村祐輔教授と松田浩一助教の研究で判った。

 

同じ体質の人でも、飲酒と喫煙をしないと、リスクは7倍程度に下がった。体質を理解して生活習慣に気を配ることで、予防したり、早期発見したりできると期待される。

研究チームは、食道がんの患者1070人と健常者2832人で、約55万ヶ所の遺伝情報の違いを比較。

 

発ガン性が指摘されているアセトアルデヒドをアルコールから作る酵素と、アセトアルデヒドを分解する酵素の二つが、食道がんのリスクに関連していることを突き止めた。

アセトアルデヒドはお酒で気分が悪くなる原因物質で、たばこの煙にも含まれる。
顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、日本人の4割がこのタイプ。
アセトアルデヒドを作る働きが弱いと、気分が悪くなる前に、ついつい余分に飲んでアセトアルデヒドが増える。

 

飲酒・喫煙の影響についても調べたところ、お酒に弱く二つの酵素の働きが弱い人が、1日缶ビール1本以上の飲酒と喫煙をすると、相乗効果が働き、お酒に強く飲酒・喫煙をしない人に比べ、食道がんのリスクが190倍も高くなっていた。


「睡眠時無呼吸症候群SASに注意」
(毎日新聞社) 平成21年7月17日

松山市 中川循環器科内科OSASセンター  中川 真吾センター長

 

○病的な眠気の程度を調べる自己診断テスト

8項目についてそれぞれ0~3点の4段階で点数をつけてください。

 

点数の意味は以下のとおり。

0:うとうとする(居眠りする)ことは絶対にない

1:ときどきうとうとする(居眠りする)ことがよくある

2:うとうとする(居眠りする)ことがよくある

3:だいたいいつもうとうと(居眠りを)してしまう


テスト8項目
(1)座って読書しているとき
(2)テレビを見ているとき
(3)他人もいる公共の場所で動かないで座っているとき
(4)他人が運転する車に同乗し、1時間くらい休憩なしで乗り続けているとき
(5)事情が許せば午後に休息をとるために横になっているとき
(6)座って人とおしゃべりをしているとき
(7)昼食(アルコールは飲んでいないとして)の後に、静かに座っているとき
(8)車を運転中に、渋滞や信号待ちなどのために数分間止まっているとき


合計11点以上の人は病的な眠気があると考えられます。


その原因の一つとしてSAS(睡眠時無呼吸症候群)の可能性があります。
ただし、合計が10点以下でも、家族から睡眠中の呼吸停止や大きないびきを指摘されたり、日中強い眠気を感じたことのある人は、SASの可能性があります。


「寿命に限りがあるわけDr.中川のがんから死生をみつめる」
(毎日新聞社) 平成21年10月21日

 

私たちの寿命に限りがあるのは、今年のノーベル医学生理学賞の受賞テーマとなった「テロメア」(染色体の末端部)に関係があります。

 

私たちの46本の染色体は、それぞれ1本の「ひも」といえます。46本をつなげると全長は2メートルにもなります。

人体は約60兆個の細胞からできてい ますから、からだ全体のDNAを合わせると、1200億キロにもなります。
これは地球と太陽の距離の約800倍です。毎日、細胞のほぼ1%が死ぬといわ れ、同じ数の細胞分裂が必要ですから、私たちの体内では毎日、太陽までの距離の8倍のDNAを複製しているわけです。
長生きし、複製ミスが蓄積してできた 「不死細胞」が、がん細胞です。

 

さて、私たちのDNAはひも状ですから、末端(テロメア)がありますが、細菌のDNAは、輪ゴムのような「環状」です。

ひも状のDNAでは、DNAの端 の部分が複製できません。たとえば、ひもをカッターで左から右に裂く場合、左端の部分を固定しなければ、上手に裂くことはできません。

固定された部分は、裂けないまま残ります。同じようなことが、ひも状のDNAの複製でも起きるため、端の部分が複製できずに、分裂後のDNAが短くなります。

 

一方、輪ゴム状であれば、一周すれば完全に裂くことができます。細菌が無限に分裂できる理由です。


私たちのひも状のDNAは、複製のたびにテロメアが短くなり、50回くらい分裂すると、それ以上は分裂できなくなります。
私たちの命に限りがあるのはこ のためです。

 

例外は生殖細胞とがん細胞で、複製で短くなったテロメアを伸ばすことができるため、寿命がありません。
このテロメアの役割と、テロメアを伸ば す酵素「テロメラーゼ」の発見に、今年のノーベル賞が授与されます。

 

もともと生き物には寿命はありませんでしたが、私たちの先祖は19億年ほど前、「限りある命」を選択しました。
これは、ひも状のDNAでなくては、有性 生殖に必要な卵や精子を生み出せないためでした。

以前にもお話ししましたが、進化の過程で、私たちは「個体の死」と引き換えに「性」を創造し、「かけがえ のない」、多様な子孫を残せるようになったのです。

  (中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)


「日本人はなぜ長寿なのか」社会疫学の第一人者 「経済ウイークリー」〈この人・この仕事〉米ハーバード大のイチロウ・カワチ教授
(共同通信社)平成21年10月21日

 

社会疫学の第一人者。所得格差など社会的な要因が健康にどのような影響を与えるかを科学的に分析するのが社会疫学という学問だ。
複数の国で暮らしたカワチ教授の独自の着眼点が国際的に高い評価を得ている。

日本人の長寿研究に関し、教授は「諸外国に比べ、これまで所得格差が小さかったことが影響しているのでは」との見方を示す。

 

問題は最近の非正規社員の増 加で「格差が広がれば、ストレスが増え日本でも働き盛りの死亡率が上がる」。
試算では「所得格差を示すジニ係数が0・5広がるごとに、死亡率が8%上がる 可能性がある」。

 

遺伝説に関しては「これだけでは説明できない」と言う。
サンフランシスコの日系移民の心疾患死亡率が、日本在住者やハワイ移民に比べ飛び抜けて高く、環境要因も無視できないと考えるからだ。


日本人は塩分摂取などが多い。「食生活だけが長寿の原因とも言いにくい」と話す。

12歳でニュージーランドに移住、大学では医学を学んだ。日本社会に興味を持ったのは海外に出てから。


さまざまな国に住み多様な社会に触れた体験は研究 に役立った。今はカナダ人の妻とともに米国で暮らす。

とりわけ日本女性が長生きなのは「家計を握り、自在に生きているのと関係があるのでは」と指摘、「欧 米にはない特性だ」と笑う。
47歳。東京都出身。


「骨盤臓器脱 骨盤底筋が弱まり、膀胱などが膣から体外へ」
  (毎日新聞社) 平成21年10月28日

 

◆骨盤臓器脱 骨盤底筋が弱まり、膀胱などが膣から体外へ。

 

◇臓器持ち上げ網で補強 新手術法、負担少なく 実施病院も増加

約2年前、千葉県に住む女性(69)は下腹部に違和感を覚えるようになった。痛みはなかったが、やがて尿が思うように出なくなった。
陰部に圧迫感があり、尿が脇へ流れ出ることも。
夜、3-4回トイレに通っても残尿感がとれない。とうとう膣(ちつ)から何かが出てきた。
丸いボールのような「それ」は、鏡の前で裸になると見えるほどになった。「これは普通じゃない」。

別の病気で通っていた病院でパンフレットを探し、「骨盤臓器脱」という病名を見つけた。症状がぴったり合っていた。

 

◇ 骨盤臓器脱とは、膀胱(ぼうこう)、子宮、直腸などの骨盤内にある臓器が、通常の位置よりも下がり、膣から体外に出てくる病気のこと。
骨盤の底でハン モックのように骨盤内の臓器を支える「骨盤底筋群」が、出産などによって引き伸ばされ、閉経に伴って女性ホルモンが減ることによって、さらに支える力が弱 くなると発症すると推測される。

 

スウェーデンの調査では、20-59歳の女性の31%、出産経験者の44%が、無症状や軽度のものも含めた骨盤臓器脱と報告された。

 

国内の調査はないが、陰部の症状のため相談できない女性が多いとみられる。

千葉県の女性も2人の子どもの出産経験があった。病院を受診すると、膀胱と子宮の一部が体外に出ていると診断された。


今年7月、下がった臓器を持ち上 げ、膣の壁と臓器の間に、人工素材で編んだ網(メッシュ)を入れて補強する手術を受けると、さまざまな症状が消えた。メッシュを使う手術法は、00年にフ ランスで開発された。

従来の子宮を摘出して膣の粘膜を縫い縮める手術より、患者の負担が軽く、再発の恐れも少ないという。
「こんなに楽になるなら、もっと 早く受診しておけばよかった。手術時間も短く、楽だった」と、女性は声を弾ませた。

 

だが、その相談先が問題だ。病院では、産婦人科と泌尿器科の境界領域の症状。また、医療関係者の認知度も低く、命にかかわる病気ではないため、対応が 遅れがちという。

 

骨盤臓器脱や尿漏れを克服した患者の会「ひまわり会」(事務局・大阪市)が、今年5-6月に骨盤臓器脱に関する電話相談を実施したとこ ろ、1000件以上の相談が殺到した。

 

5-10年も悩み続けた女性や、臓器が完全に体外に出ているような重症者が多かった。

亀田総合病院ウロギネ(泌尿器科と婦人科をそれぞれ表す英語の略語の「ウロ」と「ギネ」を合わせた言葉)センターの野村昌良・副センター長は「日常生活で 困ったり、有効な治療を受けていない女性が、かなりの数いることが推定される。


メッシュ手術などの治療に積極的に取り組む医療機関も増えてきた。我慢をせ ず、早めに医療機関や相談窓口を訪ねてほしい」と、早期受診を呼びかける。【永山悦子】


◇骨盤臓器脱の主な症状

 ・膣のあたりに今までにない違和感がある

 ・おなかの中が下がってきたような気持ち悪  さがある

 ・以前あった尿漏れが、最近なくなった

 ・座ると陰部のあたりで、何かが押し込まれ  る感じがする

 ・風呂などで、何か丸い異物が出てきている  のに触れた

 ・残便感、残尿感があり、スッキリしない


■骨盤臓器脱の治療を行う主な医療機関

 ・東北労災病院泌尿器科(宮城県)

 ・亀田総合病院産婦人科(千葉県)

 ・亀田幕張クリニック産婦人科(千葉県)

 ・埼玉医科大病院産婦人科(埼玉県)

 ・日本大付属板橋病院泌尿器科(東京都)

 ・昭和大横浜市北部病院泌尿器科(神奈川  県)

 ・名古屋第一赤十字病院泌尿器科(愛知   県)

 ・梅田ガーデンシティ女性クリニック泌尿器   科(大阪府)

 ・北野病院産婦人科(大阪府)

 ・北九州総合病院泌尿器科(福岡県)


■女性特有の病気の相談電話
 ・ウーマンズ・ヘルス・パートナーコールセン  ター
    (受付時間=月-金の10-16時)                              電 話 0120・744・066


残暑を乗り切る「抗疲労食」は、鶏胸肉、カツオがおすすめ
  (毎日新聞社) 平成24年8月16日

 

◇まず活性酸素を減らす/鍵はイミダペプチド/野菜は1食120グラムを目標に

「元プロ野球投手の板東英二さんから、現役時代は「肉といえばコレ」と聞きました」。大阪市立大大学院疲労医学講座の梶本修身教授がこう明かす食材は鶏胸肉だ。「疲労軽減成分のイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)が魚や肉の中で最も多く含まれるからです」(梶本教授)

 

イミダペプチドは、二つの特定のアミノ酸が結合したたんぱく質の一種。これが疲労とどう絡むのか。

 

梶本教授によると、日本人の疲れは主に、活性酸素が発生して脳内にある自律神経の中枢の機能が低下して起きる。
自律神経は、脈や呼吸、体温を調節している。自律神経の細胞が働くためには酸素をたくさん消費してエネルギーを作ることが必要。

その過程で活性酸素が生まれ、細胞を一時的に傷つけ、さびた状態にすると、細胞は機能を発揮できない。これが「疲労」だ。


運動でも、激しい運動は筋繊維が疲れるが、ジョギングなどは汗を出して体温を下げようとするため自律神経の細胞が疲労する。

特に猛暑だと体温調節のために自律神経が激しく働くため、活性酸素が大量に出やすい。つまり疲れやすい。

そこで、梶本教授らは活性酸素を除去する「抗酸化物質」などで、実際に疲労軽減に役立つ物質を探した。

 

「抗疲労」効果がありそうな23種類の成分を選んで試験を重ねた結果、効果を確認できたのは6種。そのナンバーワンがイミダペプチドだった。

 

日常作業で疲労を感じている男女207人に8週間にわたり、イミダペプチド200ミリグラム、400ミリグラムが入ったドリンクを毎日飲んでもらい、何も入っていない飲料を飲んだ人と比べると、イミダペプチドを飲んだ量が多いほど日を追って疲労感は低下した。


他の抗酸化物質の多くが血管で作用するのに対し、イミダペプチドは脳に届いてから作用するため、脳内にある自律神経の中枢の疲労効果に効果が高い。

 

イミダペプチドは、鶏胸肉のほかカツオ、マグロにも豊富だ。梶本教授によると、「効果を得るには毎日200ミリグラムを2週間食べ続ける必要がある」。鶏胸肉では50グラムに含まれる量だが、すべては吸収されないため、100グラム取ることを勧める。スープは効果的だ。「鶏胸肉、カツオ、マグロを交代で食べてもらえばいいのでは」(梶本教授)

 

梶本教授らの研究で、イミダペプチド以外に「抗疲労」効果が確認できた栄養成分は、コエンザイムQ10、クエン酸などだった。

ビタミン様物質に分類されるコエンザイムQ10はイワシなどに含まれる。「ただし、食材で効果の出る量を取るのは難しく、サプリメントを取らないといけない」(梶本教授)。

 

クエン酸は、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作る「TCA回路」をスムーズに動かすために必要で、かんきつ類や梅干し、酢などに含まれる。
「基本的な栄養素をバランス良く取ることが最も重要」と言うのは、女子栄養大短期大学部の松田早苗教授(栄養学)。

 

夏の食材を活かしたアイデア献立を教えてもらった。

 

定番の昼食、そうめんも工夫すれば炭水化物以外の栄養が取れる。

「前日の残りを利用して、アジの干物が余っていればほぐす。千切りキュウリ、ワカメやネギものせ、めんつゆを張って「冷やし中華」のようにして食べればいい」。

冷やご飯であれば「ほぐした魚や千切りにした奈良漬け、ミョウガなどをのせて、薄めためんつゆをかけてもおいしい」。

 

肉や魚を効果的に食べる方法は冷しゃぶやカルパッチョだという。「薄切りした豚肉をゆでて、たっぷりレタスやキュウリ、ワカメを敷きます。豚肉には炭水化物をエネルギーに変えるのに必要なビタミンB1が豊富に含まれているし、野菜でビタミンCがとれます。サーモンなどの刺し身を使ってカルパッチョにすれば、魚を食べるのが面倒という若い人も食べるでしょう」。


野菜は1食で120グラムほどが理想で、たくさん食べやすいのはラタトゥイユ。「ズッキーニやピーマン、キノコ、ナスを切って、トマトを入れブイヨンで煮る。温かくても冷たくてもおいしい」。カゴメなどが行ったマウスによる試験では、運動前や運動中のマウスにトマトジュースを摂取させると、運動後の血中の疲労の度合いの指標(疲労バイオマーカー)の増加が抑えられた。「トマトジュースなどを取ると運動時の疲労軽減が期待できる」(カゴメ)としている。

 

夏バテで全く食欲がない場合は、「食べられる物を食べて栄養を補充することです。卵も砂糖も入るプリンでもいい」と松田教授。まずはしっかり食べることから始めよう。


◇ 疲れを回復したり、体の調子を整える栄養成分

 

□ イミダペプチド
たんぱく質の一種で、疲労を回復する。鶏胸肉、カツオ、マグロに多く含まれる。

 

□ クエン酸
食物をエネルギーに変える時に重要で、疲労回復効果。かんきつ類、酢、梅干しに含まれる。

 

□ ビタミンC
イミダペプチドと共に摂取すると抗疲労効果が早く出る。イモに含まれるものは調理で損失が少ない。レモン、赤ピーマンにも。

 

□ ビタミンB1
炭水化物をエネルギーに変えるため必要。豚肉、ウナギ、カシューナッツ、玄米に多い。

 

□ ビタミンB2
炭水化物、脂質、たんぱく質をエネルギーに変えるため必要。ほとんどの食品に含まれる。


「母乳を知る」: 服薬ほとんど影響なし


◇授乳中止の不利益多く わずかに禁忌薬も

 

静岡県に住み、2児を育てる主婦(29)は今年7月、風邪をひいて近所のかかりつけの内科医を受診した。

生後5カ月の長女に授乳中であることを告げると、医師にこう言われた。「薬は飲んでもいいけど、おっぱいはやめてください」
 長女は完全母乳で育てていて、離乳食も始めていなかった。

「38度の発熱があってつらく、早く治したいけれど、おっぱいは簡単にはやめたくない。困りました」。

 

悩んだあげく、出産した産科医院に電話で相談。薬の名前を伝えて調べてもらうと、赤ちゃんに問題のない薬だと分かった。

授乳しながら処方された4日分をすべて服用し順調に回復した。
長男(3)の授乳中も、似たような経験が何度かあったという。主婦は「授乳中と言うと、医師に嫌な顔をされたり、やめるよう遠回しに促されることもあった」と振り返る。


 授乳育児中の急な病気やけが、歯の治療や既往症で、一時的または長期の薬の服用が必要になったとき、悩む母親は多い。

 

薬の添付文書で、授乳中は投与を避けるか、授乳を中止するよう書いてあることが多いうえ、医師に授乳をやめるよう勧められることもあるからだ。

 

 石井第一産科婦人科クリニック(浜松市)の石井広重院長は「確かに、母親が飲んだほとんどの薬は母乳に移行するが、微々たる量で赤ちゃんに影響しないことがほとんど。母乳を中止する不利益の方が大きいことが多い」と話す。

 

 母乳は、乳房にある乳腺で、母親の血液から作られる。母親が薬を飲むと、その成分が血液に乗って乳腺に届く。


石井さんによると、原則的に、母乳に分泌される薬は母親が飲んだ量の1%以下だ。一般的には、母親が飲んだ量の10%以下なら、乳児には安全と考えられている。石井さんは「母親に処方されるほとんどの薬は、赤ちゃんが病気になったときにも使われる。

赤ちゃんに処方される量より、母乳に分泌される量は格段に少ない」とも指摘する。

 

 抗がん剤や代謝拮抗(きっこう)薬、放射性医薬品など、蓄積性があったり、毒性が強いなどの理由で授乳中に服用してはいけない薬もわずかにある。ただし、半減期が短い診断用薬剤など、一時的に授乳を中断し、その後再開できるものもある。
   ◇  ◇

 近年の研究で、母乳は優れた免疫成分と個々の赤ちゃんに最適の栄養を含み、母子間の愛情をはぐくむうえでも重要な役割を果たすことが分かってきた。乳がん、子宮体がん、卵巣がんの罹患(りかん)率が低下するなど、母親にとっても多くのメリットがある。

 

 一方、授乳を急にやめると、母親の胸が張って乳腺炎につながることもある。

 石井さんは「医師は、薬をやめるデメリットを理解していても、授乳をやめるデメリットは理解していないことが多い」と指摘する。

 

 実際の症例では、個々の症状や体質によっても判断が異なってくる。医師に相談するときは、「母乳を続けたい」という希望をはっきりと伝えることや、母乳育児に理解のある医師を選ぶことも大切だ。

 

世界保健機関(WHO)とユニセフは、母子同室など母乳育児の環境を整えた産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」として認定しており、「日本母乳の会」が、国内のBFH61施設をホームページ(http://www.bonyuweb.com/)で紹介している。


石井さんは昨年12月、妊娠中と授乳中それぞれの薬の使い方について、国内外の文献やデータベースを調べた内容を小冊子に まとめた。クリニックで出産した母親に渡し、薬が必要なとき主治医に見せるよう勧めている。1冊200円。

 問い合わせは同クリニック(電話053・586・6166)。

 

 また、国立成育医療センター(東京都世田谷区)内の「妊娠と薬情報センター」でも、
ホームページ(http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html)に「授乳と薬について」のコーナーを設け、授乳中でも通常安心して服用できる薬と使用できない薬の代表例を一覧で紹介している。【須田桃子】


 ■授乳中に使用してはいけない薬剤の代表例(抗がん剤を除く)


   成分名           分類
(代表的な商品名)

アミオダロン    強心薬、抗不整脈薬、抗             狭心症薬
(アンカロン)

エルゴタミン    片頭痛治療薬
(カフェルゴット)


ダナゾール     排卵誘発薬、子宮内膜症            治療薬など
(ボンゾール)

 ダントロレン    抗めまい薬、筋緊張緩和            薬など
(ダントリウム)

 ネビラピン     抗ウイルス薬
 (ビラミューン)
バルガンシクロビル 抗ウイルス薬
(バリキサ)

ミコフェノール酸  抗リウマチ薬、免疫
 モフェチル     抑制薬
(セルセプト)

メトロニダゾール  抗真菌薬、抗原虫薬、駆            虫薬
 (フラジール)

 モルヒネ      麻薬
 (同)

ラミブジン      抗ウイルス薬
(エピビル)

 ※国立成育医療センター「妊娠と薬情報センター」ホームページより抜粋


服薬中の授乳 OK?ダメ?

 
 大半の薬は問題なし 医師と相談を

 母乳育児と服薬についての考え方が変わりつつある。これまでは、乳児への影響を心配し、服薬中に母乳育児を中止する傾向が強かったが、実際には問題がない薬が大半で、授乳は続けられる。

 ただ、一部には授乳の中止が必要な薬もあり、母乳育児に詳しい医師らと相談することが大切だ。

 「薬が母乳に出て、子どもに影響しないか心配」「子どもへの薬の影響が怖く、薬を飲むのを我慢した」--。

 

 東京都立川市にある多摩薬局、錦町薬局と立川相互病院薬剤部は、一昨年春から夏にかけ、乳児健診会場や薬局を訪れた母親らを対象に、授乳と服薬についてのアンケート調査を行い、約300人から回答を得た。

約7割の母親が授乳時の服薬に不安を訴え、医師などから授乳中止を指示された人も約2割いた。


いったん授乳を中断すると、その後母乳が出にくくなるケースもあり、母乳育児を続けたい母親には深刻な問題だ。

多摩薬局薬剤師の宮崎亜紀さんは「医師の授乳中止を指示する言い方がそっけなく、戸惑ったという母親もいた。

 

 実際は、多くの薬は母乳を与えながらの服用が可能」と話す。

 両薬局と同病院薬剤部は、研究報告や医薬品メーカーの情報をもとに、薬と授乳のリスクについて、医師向けの資料を作成。

患者向けにも、授乳しても問題がない薬や成分などを解説した文書を作った。

 

 国立成育医療センター(東京都世田谷区)母性内科医長の村島温子さんも、「母親が服用した薬の大半は母乳に移行するといわれるが、ごく少量にすぎない」と話す。「子どもが母乳を飲み、薬の成分が腸で吸収されて有害となる例は非常に限られる。

 医療関係者にも、もっと理解してほしい」と指摘する。

 

 薬の添付文書には薬の成分が母乳中に出る場合は、「授乳を避ける」などと記載されているものが多いが、最近の研究報告などから、問題がない薬が多いことが明らかになってきたという。その一方で、母乳育児は、栄養面や病気予防の利点があり、親子の絆を深めるなどの理解が広がっている。

 

 国立成育医療センター内には「妊娠と薬情報センター」(03・5494・7845)があり、村島さんがセンター長を務める。

 ホームページ(http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html)では、「授乳中に使用しても問題ないとされる薬剤の代表例」177種と、抗がん剤など「授乳中に使用してはいけない薬剤の代表例」24種を紹介。授乳と服薬についての相談にも応じる。

 薬の成分などは医薬品医療機器総合機構のホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)で調べることもできる。

 

 村島さんは「こちらで薬のすべてを網羅しているわけではなく、今後情報が変化することもありうる。
自己判断ではなく、母乳育児に詳しい医師らと相談して、使用や中止を決めることが重要です」と話している。

 

 妊娠中の服薬については、時期や薬の種類などによって胎児への影響が異なる。「妊娠と薬情報センター」のほか、

北海道大学病院など全国12か所の協力病院でも相談できる。


健康ナビ:元気で長生きできる食事は。


 ◆元気で長生きできる食事は。

 ◇おかず、しっかり食べよう 全体の半分は
動物性たんぱく質に/野菜、果物350グラム

 
 ●摂取カロリー年々低下

 メタボリックシンドローム対策やダイエット志向の高まりで、日本人のエネルギー摂取量は年々低下し、06年にはついに終戦直後を下回ってしまった。「このままでは長寿社会どころか平均寿命は短くなっていく」。栄養学者からはそんな懸念の声が出ている。

 

 人類の平均寿命が50歳を超える国が現れたのは20世紀に入ってからだ。肉や牛乳などの動物性たんぱく質を多く取るようになったニュージーランドやオーストラリア、欧米の先進国が先陣を切った。この時期の日本は栄養状態が悪く、まだ30代後半。

半世紀遅れの1947年で、ようやく50歳を超えた。80年代に入ると、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の摂取量がほぼ同じになり、これに歩調を合わせるように、世界最高レベルの長寿国になった。


桜美林大大学院の柴田博教授(老年学)は「動物性たんぱく質と脂肪の摂取増が結核や脳血管死を減少させた。

 しかも80年代には脂肪の摂取量が頭打ちになり欧米のように虚血性心疾患の増加も防ぐことができた。

理想的な栄養バランスが日本の長寿をつくりあげた」と分析する。


 ●20代女性が押し下げ

 しかし、80年代以降、日本人の栄養状態は年々劣化し始めた。厚生労働省の07年の国民健康・栄養調査によると、

エネルギー摂取量は70年代前半の約2200キロカロリーをピークに06年は1891キロカロリーに減り、終戦直後の46年の1903キロカロリーよりも少なくなった。
また、たんぱく質摂取量は95年の82グラムから70グラム、脂質も60グラムから54グラムに減少した。

 

 柴田教授は「特に(ダイエットなどに取り組む)若い女性とその子供が低栄養状態で全体の平均を下げている。

粗食が健康的との誤解が広がり、食のバランスを壊してしまった。将来は骨粗しょう症などが頻発し平均寿命も低下しかねない」と指摘する。

同調査によると、20代女性のエネルギー摂取量は約1700キロカロリーで、必要量よりも300キロカロリー不足している。


 ●ご飯の量で調整を

 それでは、長寿につながる食生活に向けて、どんな工夫をすればいいのか。柴田教授に聞いた。

 

 人間の体は9種類の必須アミノ酸を含む20種類のアミノ酸でできている。
この構成に近いアミノ酸を取れるように食べ物全体の50-60%は動物性たんぱく質をとった方がいいとされる。

必須アミノ酸がすべてそろった食品を100点としてアミノ酸のバランスをみる「アミノ酸スコア」では「卵、牛乳、肉、魚」が100点で、大豆80点、米60点、小麦40点となる。

 

 1日に必要な食品の基本として「(1)卵1個(2)牛乳200CC(3)肉、魚それぞれ同量(70-90グラム)(4)豆腐3分の1丁(5)野菜・果物350グラム(6)油脂15CC」をあげる。このおかずの量を変えることなく、各人の体の大きさや運動量でご飯の量を調整してほしいという。


また、高齢になると、肉などのおかずの量を減らした方がいいと考える人は多いが、これも誤りだという。

基本のおかずはしっかりとった上で、基礎代謝の減少分だけ、ご飯の量を減らせばよい。70代では1日約110キロカロリー(お茶わん1杯弱)を減らす程度になるという。【小川節子】

 

 ◇抗酸化効果でアーモンドに注目

 ビタミン類やポリフェノール類、香辛料などに多く含まれ、人間の老化を防ぐ抗酸化物質。

米国農務省が管轄する「ジーン・メイヤー人間栄養学加齢研究センター」のジェフリー・B・ブラムバーグ所長によると、米国では最近、アーモンドの抗酸化効果が注目されているという。

 

「酸化ストレスを遮断するビタミンB、Eやフラボノイドなどの栄養素と酵素が含まれ、相互作用で効果を発揮する」と話す。
1日5-20本のたばこを吸う中国人男性30人に、1日84グラム(約70粒)のアーモンドを4週間摂取させたところ、DNA鎖の切断による損傷が23%減少したという。

 

「木の実、野菜、果物の中にはたくさんの抗酸化物質が含まれている。

サプリメントよりは食べ物として取る方がよく、1+1=2以上の相乗効果がある」と話している。


眠れない時代に:第1部・快適な朝を求めて/1 目覚めは夢の途中で


 快適な眠りと気持ちのよい目覚めで、一日のスタートを切りたい。

しかし、厚生労働省が09年11月に発表した国民健康・栄養調査では、男女とも約2割が、眠っても休養がとれないとの悩みを抱えているという。

睡眠不足や睡眠の質の低下は、集中力や注意力の低下、うつなどの精神疾患を引き起こす。

 

第1部では、最近の研究で明らかになった良い睡眠の取り方など、睡眠との上手な付き合い方を考えていきたい。

 ◇「レム」時の起床で、すっきり新陳代謝促す「ノンレム」時

 「朝、夢を見ているときに起きることができると、目覚めが良いってことを知っていますか」と話すのは、寝具メーカー、丸八真綿安眠総合研究所(横浜市)の中野祐三子研究員だ。


学識経験者や企業などでつくる非営利団体、日本睡眠改善協議会(本部・東京都新宿区)が認定する睡眠改善インストラクターでもある中野さんによると、質の良い睡眠を考えるには、睡眠の基本的なメカニズムを知ることが大切という。

 

 睡眠には、異なる性質をもつ二つの眠りがある。レム睡眠とノンレム睡眠だ。

 レム(REM)とは、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)の略で、レム睡眠は、眠っていても目玉が動いて脳が働き、全身の力が抜けている状態で、体を休息させる眠りといわれる。

そのため、夢は脳が起きているレム睡眠と浅いノンレム睡眠中にみるとされる。

 

 一方、ノンレム睡眠は脳も体も休息させる眠りをいい、眠りの深さに従って四つの段階がある。

 個人差はあるが、平均約90分を一つのサイクルとして、レム睡眠とノンレム睡眠を一晩に3~5回繰り返す。

 

眠りに入ると、深いノンレム睡眠が現れ、その後、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に起き、朝に向けてノンレム睡眠が浅くなる。

この中で、脳が休んでいるノンレム睡眠中に起こされると、頭がボーッとすることが多く、脳が働いているレム睡眠中に起きると、目覚めが良いように感じるという。

   ◇  ◇

 レム睡眠とノンレム睡眠の役割の違いも分かってきた。

 

 同協議会会長の堀忠雄・広島大名誉教授(睡眠科学)によると、レム睡眠中の脳は、大脳辺縁系にある海馬が活発に働き、起きている時に得た情報を取捨選択して記憶として認識し、また過去の記憶と照合して新たな知識を構築すると考えられるという。

 

 堀名誉教授は「徹夜で勉強した人よりも、6割程度勉強してよく寝た人の方が成績が2割程度良かったというデータもある。

睡眠中に記憶が整理され、定着したと思われる」と話す。

 

 一方、脳も体も休息しているノンレム睡眠は、新陳代謝を促し、細胞を修復したり、活性化させる成長ホルモンが多く分泌される。

睡眠不足を続けると、成長ホルモンの分泌が阻害され、肌荒れなどが目立ち、老化が早まるとされる。

 

 また、最近の研究では、脳が休息しているとみられていたノンレム睡眠中でも、記憶の消去などが行われているという研究成果や、 09年11月の米科学誌サイエンスには、特定の記憶が強化できるという実験結果が発表され、まだまだ睡眠中の脳の働きは未解明な部分が多い。

   ◇  ◇

 質の良い睡眠をとることについて中野さんは、寝る時間と起きる時間を一定にし、一日のリズムを作ることが大切だとアドバイスする。日曜日の朝だからと昼 近くまで眠ったり、深夜遅くまで仕事をしていたからと起床時間を大幅にずらしたりすると体のリズムが崩れて、夜、眠りにくくなるという。


その上で、ちょっとしたテクニックとして、
(1)日常の活動と睡眠の時間との間にめりはりを付けるため、部屋着とパジャマを別にする

(2)自分の体に「これから眠ります」と覚えさせるために、布団を敷いて歯を磨き、トイレに行ってパジャマに着替え、電気を消すといった自分の入眠儀式をつくること--などを勧めている。=次回は15日

 

 ◇「睡眠中のひらめき」ホント?

 ビートルズの「イエスタデイ」は、ポール・マッカートニーさんが、夢の中で浮かんだ旋律をもとに作った曲として知られるなど、睡眠中に思わぬひらめきを得たというエピソードは少なくない。

 

 堀名誉教授は「エピソードというのはあとから作っちゃう人もいて、検証できないが、経験的には可能性はあると思う。

一生懸命何かを考えている人は、それに関係する夢を見ることはあり、突拍子もないものが出てくることもあるが、それをヒントとして役立てる人もいるかもしれない。俳人や芸術家のように、一瞬のひらめきをヒントにする人もいる。
集中力など受け手の違いではないか。ただし、目覚めたあと覚えておくことが大切」と話している。

 

 ◇日本人の睡眠時間

 日本人の睡眠時間は世界的にも短い。睡眠関連企業で作る「快眠コンソーシアム」によると、英ロンドン大が世界24カ国の大学生を対象に99-01年に行った調査では、日本人の平均睡眠時間は男性が6時間12分、女性が6時間5分で、最も短かった。

NHK放送文化研究所の05年調査でも、国民全体の平均睡眠時間は7時間22分(平日)で、35年前より約30分短くなった。

特に女性は深刻で、40代では6時間43分(同)と、同年代の男性より20分以上短かった。


ビタミン:新たな効果 骨粗しょう症予防にD、K/脳卒中に葉酸


 今年は日本でのビタミン発見からちょうど100年を迎えた。体内で十分な量を合成できず、欠乏すると健康障害を起こすことで知られるが、最近は骨粗しょう症や生活習慣病の予防効果に注目が集まっている。【高野聡】

 

 バターやキクラゲ、魚類などに多く含まれるビタミンD。腸でのカルシウム吸収を助け、骨の形成に関与するため、欠乏すれば骨軟化症などの石灰化障害を起こす。

 

 京都女子大の田中清教授(臨床栄養学)は「1980年代以降、血液中のビタミンD濃度が測れるようになり、欠乏に至らない軽度の不足で、骨が折れやすくなる骨粗しょう症が起きることが分かってきた」と説明する。

 

欧米の研究では、血液1ミリリットル当たりのビタミンD20ナノグラム(ナノは10億分の1)未満というのが不足の目安という。

 

 ではその濃度を確保するにはどれくらい摂取する必要があるのか。骨粗しょう症は高齢者が多くかかるため、田中教授は高齢者施設の入所者を対象に、ビタミンDの摂取量と、血中の濃度を調べた。


その結果、5マイクログラム(マイクロは100万分の1)摂取しただけでは、血中のビタミンD濃度は十分に上昇せず、サケ一切れに含まれるビタミンDに当たる20マイクログラム摂取することで1ミリリットル当たり19ナノグラムまで上昇することが分かった。

 

田中教授は「今後、日本人を対象に大規模な介入調査を行い、必要な量がどの程度なのか科学的に明らかにする必要がある」と話す。

 

 また緑色野菜や海藻、納豆などに多く含まれ、肝臓で血液凝固因子を活性化させるビタミンKが、骨に存在するたんぱく質の働きに関係していることも分かってきた。

 ビタミンKの場合も、摂取量によっては骨で不足するケースが起こる。小腸で吸収されたビタミンKは肝臓を経て骨に送られる。

 

消化吸収力の低下した病気の人を対象にした田中教授の研究で、肝臓で足りていたビタミンKが、骨では不足しているという結果が出た。
ビタミンKが肝臓で使われてしまうことが理由と考えられる。田中教授は「健康な成人なら平均して1日当たり250マイクログラムを摂取しているので量的には十分。

しかし高齢者や病気の人は納豆などを積極的に食べたほうがよい」と指摘する。


 一方、ホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれるビタミンB群の一種の葉酸。欠乏すると貧血を起こすほか、妊婦では胎児に二分脊椎(せきつい)症などの障害が起きるとして摂取が呼びかけられている。

 

女子栄養大の香川靖雄副学長(人体栄養学)は「脳卒中などのリスクを抑えるためには、今以上の摂取が必要」と指摘する。

 香川副学長によると、海外の研究では、葉酸の血液中濃度が増すと、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)のリスクを示すアミノ酸、ホモシステインの値が減る。

 

このため世界52カ国では、小麦などの穀類に葉酸を添加して、葉酸摂取量を増やす政策をとっているという。
98年に穀類の葉酸強化を導入した米国では、99年以降脳卒中死亡率が低下したという。

 

 厚生労働省が生活習慣病予防のための基礎的データとしてまとめた「日本人の食事摂取基準(2010年版)」は、18歳以上の男女の葉酸の推奨量を1日当たり240マイクログラム(妊婦は480マイクログラム)としている。

推奨量を一律に増やすことには、専門家からも慎重な意見はあるものの、香川副学長は、これを同400マイクログラムに上げるべきだと主張する。

 

女子栄養大では、地元の埼玉県坂戸市と共同で葉酸摂取量を増やすプロジェクトを06年から始め、葉酸を添加した食パンなどを開発している。

 

◇日本で発見から100年 海外より1年早く

 ビタミンの発見には日本人研究者が関係している。

 1910年、東京帝国大の農芸化学者、鈴木梅太郎(1874~1943年)が米ぬかから抽出した物質にかっけ予防効果があることを発見。

この物質を「アベリ酸(後にオリザニン)」と名付け、同年12月13日の東京化学会例会で発表した。

これが現在のビタミンB1だった。論文も発表したが、日本語だったため国際的に認知されなかった。

 

 一方、11年にポーランド人医師フンクが、同様の物質を米ぬかから抽出し、12年に生命(vital)に必要な化合物アミン(amine)という意味からビタミン(vitamine)と名付けた。

その後アミンと構造が異なるビタミンも見つかったため、「vitamin」とつづりを変えた用語が定着した。

 社団法人ビタミン協会は、12月13日を「ビタミンの日」としている。


 ■ビタミンDを多く含む食品

キクラゲ(1グラム)       4.4

サケ(60グラム)       19.2

ウナギかば焼き(100グラム) 19.0

サンマ(60グラム)      11.4

ヒラメ(60グラム)      10.8

イサキ(60グラム)       9.0

タチウオ(60グラム)      8.4

カレイ(60グラム)       7.8

メカジキ(60グラム)      6.6

なまり節(30グラム)      6.3


 ■ビタミンKを多く含む食品

卵(50グラム)        7

納豆(50グラム)     300

ホウレンソウ(80グラム) 216

小松菜(80グラム)    168

ニラ(50グラム)      90

ブロッコリー(50グラム)  80

サニーレタス(10グラム)  16

キャベツ(50グラム)    39

カットワカメ(1グラム)   16

ノリ(0.5グラム)      2

 ※含有量の単位はマイクログラム

 (日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン06年版」より引用)


チック症:子のチック、受け止めて 多くは一過性、症状理解して 重症なら投薬治療も

 

 頻繁にまばたきやせき払いなどが出るチック症。子供の10人に1-2人が発症するといわれる。
多くが一過性のもので次第になくなるが、症状が増えたり長引く場合もある。家庭や学校など周囲の理解が大切だ。【下桐実雅子】

 

 チック症とは本人が意識しなくても、体の一部が素早く動いてしまい、それが繰り返される神経疾患の一つだ。
まばたきや首振り、目の動きといった運動性チックだけでなく、せき払いや声が出てしまう音声チックもある。


東京医科大の星加明徳教授(小児科)によると、一度でもチック症を経験したことのある子供は10-24%に上るといわれるほどよくみられる病気だ。

6-7歳ぐらいで発症し、男の子に比較的多い。星加教授は「多くの場合は1年以内に症状が自然に消えるので様子をみてほしい。
脳の発達段階で神経回路がうまく機能しないために起こると考えられており、育て方や母子関係が原因ではない」と話す。

 

 学校よりも家で症状が目立つため家庭に問題があると思われがちだが、テレビを見ているときなど、くつろいでいるときに出やすいという。
わざとやっているわけではないので、しかったり、「やめなさい」と言うのは逆効果だ。
「周囲はゆったりと構えて、子供の特徴の一つとして受け入れることが大切」と、星加教授は指摘する。


中には症状が全身に広がったり、長引く場合もある。運動性チックと音声チックの両方が1年以上続く重症なチック症は「トゥレット症候群」と呼ばれる。

 4月25日、東京大病院で特定非営利活動法人(NPO)「日本トゥレット協会」(高木道人会長)の講演会が開かれ、患者や家族ら約70人が集まった。
医師らの講演の後、患者などからは学校にかかわる問題や治療法などについて質問が寄せられた。

 

 小学6年の息子が多様なチックの症状を持つという母親(44)は「担任の先生やクラスの子は病気のことを分かっているが、他のクラスの児童に嫌がらせを受けている。中学受験をしたいが学校側に病気を理解してもらえるかも不安だ」と悩みを語った。


子供のころチック症で悩んだ東京都新宿区に住む介護職員(42)は「高校生のときは周りの目が気になり不登校になった時期もあった。
今の主治医に出会って病気のメカニズムを理解できるようになったら、チックを受け入れられた。病気をコントロールしていこうと前向きな気持ちに変わった」と振り返った。

 

 息子2人がトゥレット症候群という同協会の高木洋子理事は「相談できる人が少ないうえに、お母さんの愛情が足りないからだと言われるなど、周囲の理解不足に傷つく母親は多い」と訴える。


金生由紀子・東京大准教授(こころの発達医学)は「治療の基本は、本人や家族が病気や症状についてよく理解し、過度に不安にならないようにすることだ」と強調する。
一定の年齢を超えると症状が軽減する可能性が高いので、病気との付き合い方が分かったうえでの経過観察も一つの方法だ。

 

 しかし、日常生活が困難になる場合がある。チックを抑えようとして苦痛を感じたり、「アッ」と大声が出てしまい、学校生活や仕事に支障をきたす。
口の中をかんだり、頭を壁に打ち付けるなどの自傷行為を繰り返すこともある。こうした場合には、薬の治療が選択肢になる。

 

 治療には神経伝達物質「ドーパミン」の働きを抑える薬(抗精神病薬)などが使われる。眠気などの副作用に注意しながら服用する。


チック症やトゥレット症候群は、気が散りやすいなどの注意欠陥多動性障害(ADHD)や過度に手を洗うなどの強迫性障害を併発する場合が少なくないため、症状に合わせて抗うつ薬など他の薬を組み合わせることもある。


金生准教授は「生活に困らないように症状を軽くすることを目指し、患者さんが自分を受け入れられるようにサポートすることが重要だ」と話す。

 

 NPO法人日本トゥレット協会への問い合わせは03・3200・5451(木曜日午前10時-午後3時)。


■チックの分類

 ◇一過性チック

 持続期間が1年未満で自然に消えるもの。運動性チック、音声チックのどちらか一方という場合が多いが、両方現れることもある。

 

 ◇慢性チック

 運動性チック、音声チックのどちらか一方が1年以上続く。それぞれ、異なる症状が次々現れたり、複数の症状が同時に出たりする。

 

 ◇トゥレット症候群

 複数の運動性チックと音声チックの両方が同時に現れたり、次々現れたりする状態が1年以上続く。


■チックの主な症状


 ◇運動性チック

 まばたき、首を振る、顔をしかめる、肩をすくめる、ジャンプする

 

 ◇音声チック

 せき払い、鼻を鳴らす、奇声を発する、汚い言葉が口をついて出てしまう、自分で言った言葉や相手の言葉を繰り返す

 (星加教授監修の「チックとトゥレット症候群がよくわかる本」をもとに作成)


70年断食のヨガ聖人 インド国防省が謎調査


 【バンコク共同】インドで70年以上、食べ物も水もとらずに生き続けているとされるヨガ聖人の身体のメカニズムを解明しようと、同国国防省が調査に乗り出した。インド紙ヒンズーなどが11日までに報じた。

 

 聖人はプララド・ジャニさん(82)。ジャニさんの断食を「いんちき」とする報道もあるが、国防省は謎が解明できれば、飲食なしに兵士が生き延びる方法などに応用できると期待している。

 ジャニさんは西部グジャラート州の病院に4月下旬から国防省の調査のため15日間入院。

約30人の特別医師団が24時間態勢で観察、ジャニさんはこの間、一滴の水も飲まず、トイレにも行かなかった。
さまざまな検査をしたが、身体の異常も見つからなかった。


医師団は「日光をエネルギー源にしているのでは」と仮説を披露したが、検査結果に驚くばかりで神秘の解明にはまだ時間がかかるとしている。

 ジャニさんは8歳の時、目の前に現れたヒンズー教の女神に舌を触られて以来、食欲を失い、食物をとらないでも生きていられるようになったという。


感染症や乾燥による「冬脱水」に注意喚起(薬局新聞2013.3.6配信)

 「教えて!「かくれ脱水」委員会」が脱水状態の知識啓発            
                              
 風邪・インフルエンザやノロウイルスが流行する中、気をつけなければならないのが感染症による脱水だ。

 感染症は脱水への適切な対応が行われないことで、より重篤化することもあるだけに冬の脱水状態に対する正しい理解・啓発が必要となる。

 

 こうした脱水状態の正しい知識の啓発を目的に昨年6月に設立された「教えて!「かくれ脱水」委員会」は、感染症や乾燥による冬の脱水に関するセミナーなどを通じ、冬脱水の2大リスクとしての「ウイルス感染症」と「乾燥」とその予防、対処法などについての情報提供を行っている。


シーズン前に都内で行っていたセミナーで同委員長の兵庫医科大学小児科学・服部益治教授は、ノロ・ロタといった感染性胃腸炎やインフルエンザなどのウイルス感染によって引き起こされる嘔吐・下痢では、水と一緒にナトリウムやカリウムといった電解質も喪失していることを強調。

 

水だけを補給した場合では体液が薄まり、身体の電解質濃度を保つため利尿作用が起きて水分と電解質が失われるといった悪循環につながるとし、「水だけでは脱水状態を改善できないため、経口補水液などを補給することが必要」と解説している。

 

もう一つのリスクである乾燥(低湿度)については、冬は暖房器具の使用や部屋の気密性が高まることに加え、汗をかかないため飲み物からの水分摂取が減少するなど常にかくれ脱水の危険性が潜んでいることも指摘。

 

かくれ脱水は本人では気づきにくく、特に成人と比べ体内の水分量が少ない高齢者や水分が失われやすい新生児においては、周囲の人の注意・認識が重要ということだ。


また、冬脱水のサインとして服部教授は「手足の皮膚がカサつく」「口の中がネバる」「やる気や食欲低下でダルい」「めまいなどでフラっとする」といったことをあげており、カサ・ネバ・ダル・フラをキーメッセージとしての啓発を呼びかけている。 


目覚めの一服はリスクが大 最低でも31分は我慢すること
ダイヤモンド・オンライン2013.6.10配信


 先日、米ペンシルベニア州立大学の生物行動学講座の研究グループから「目覚め直後の一服は、肺がんや口腔がんの発症リスクを高める」という研究結果が、専門誌に報告された。

調査は全米健康栄養調査に参加した成人喫煙者、約2000人から採取した血液サンプルと喫煙習慣を分析。

 

その結果、その日最初のたばこを起床後30分以内に吸う人は、31分以上たってから「最初の1本」に手を伸ばす人よりも、たばこ特有の発がん物質の血中濃度が高かったのである。

研究者は「起床後にすぐたばこを吸うと、より深く吸入するため肺がんや口腔がんの発症リスクを高める可能性がある」としている。


実は、2年前にも同大学公衆衛生学の研究グループが「目覚めの一服」と、口腔がんを含む頭頸部がんとの関連をアメリカがん協会の機関誌で報告している。同調査は1850人の成人男女(平均年齢58歳)を対象に実施された。

 

年間喫煙本数の影響を調整したうえで「最初の1本」の時間で解析したところ、31~60分以内に「最初の1本」を吸う喫煙者は、1時間以上たってから吸う人よりも1.42倍、30分以内に吸う喫煙者は1.59倍も発症リスクが高かった。

 

当時のデータでは、頭頸部がんのうち、起床後30分以内の「最初の1本」と最も強く関係したのは咽頭がんだった。

1時間以上たってから吸う人の発症リスクを1とした場合、2倍以上も発症リスクが高まることが示されている。

 

その他、上あごにできる「口蓋がん」の発症リスクが1.87倍、舌の真下にできる「口腔底がん」は1.76倍だった。
日本人の口腔がんは頻度こそ全がんの約2%と低いが、50~60代の比較的若い年齢で発症する。

 

また、場所が場所だけに治療後は顔面の変形や飲み込めない、言葉を失うなど大切な機能が損なわれやすい。

 

起床後、すぐたばこに手を出す人は「ニコチン依存症」の可能性が高いのだから、当然、致死的な肺がんの発症リスクも上昇する。

まずは31分、我慢できるか試してみること。禁煙への第一歩になるかもしれない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)


ダイエットは「除脂肪体重」に留意、川端輝江のつまみ食い栄養学

暖かくなって薄着ができる季節になると、多くの女性がダイエット。「今年こそノースリーブで爽やかに過ごしたい」と考えるのは、私だけではないはずです。

ダイエットに挑戦する時、気にとめてほしいのが「除脂肪体重」です。

 

全体重のうち体脂肪量を除いた残りの体重、つまり筋肉や骨、内臓などの総重量で、「LBM(リーン・ボディー・マス)」と略されます。
これを減らさないことが重要です。

 

食事を抜いたり、極端に食べる量を減らしたりすると、からだは飢餓状態に陥ります。
飢餓状態とは、栄養学では「炭水化物の不足」を意味します。
体内には、タンパク質は筋肉組織に、脂肪は脂肪組織に豊富に存在していますが、炭水化物の貯蔵量はわずかしかありません。
例えば肝臓にある「グリコーゲン」は炭水化物の一つですが、蓄積量はご飯茶わん1~2杯分に過ぎません。
空腹状態が数時間続けば、あっという間に消費されてしまいます。

 

そもそも炭水化物は、なぜ必要なのでしょうか。
炭水化物はエネルギー源として利用され、からだの構成成分ではありません。エネルギーを取り過ぎになりがちな現代の食生活では、あまり価値のない栄養素の一つに感じられるかもしれません。

 

一方、炭水化物は消化吸収によってブドウ糖に分解されます。
脳や赤血球などは通常、ブドウ糖しかエネルギー源として利用できないため、炭水化物があれば効率的に補給できます。
これを使い切ってしまった飢餓状態になると、不足分を埋めようと、筋肉中のたんぱく質がブドウ糖に変化します。

残念ながら、脂肪組織を構成する成分である脂肪酸は、この役目の肩代わりはできません。

 

筋肉や内臓は、脂肪と比べて安静時でもエネルギーを多く消費する組織です。

LBMが落ちると、からだ全体のエネルギー消費量が低下してリバウンドの原因になり、病気にもかかりやすくなります。

 

筋肉の素材になるたんぱく質がブドウ糖に変化することを防ぐには、極端な飢餓状態をつくらないことが大切です。

運動も取り入れ、ゆっくり時間をかけて、LBMを減らさない健康的なダイエットを心がけましょう。
(かわばた てるえ=女子栄養大基礎栄養学研究室教授)


不快指数の計算

不快指数の計算式がありましたので、掲載しておきます。

 

0.81×(気温)+0.01×(湿度)×{0.99×(気温)-14.3}+46.3

この式で出た数字が、


  55以下           寒い
  55~60         肌寒い
  60~65     何も感じない
  65~70          快い
  70~75        暑くない
  75~80        やや暑い
  80~85    暑くて汗が出る


とのことです。

 

日本の年間、全都市の計算結果で見ると、
48.2%は「寒い」という評価になっているそうです。


健康食品過信しないで(毎日新聞社)

 

一定の健康効果を企業の責任で表示できる「機能性表示食品」をはじめ、さまざまな健康食品が出回るが摂取の際にどんな注意が必要なのか。
健康食品の有効性や安全性を独自に評価した食品安全委員会が19項目のメッセージを公表し、注意を促している。

 

●危険な過剰摂取
健康食品の摂取が健康を害することがあるなどの理由から、内閣府・食品安全委員会は昨年6月(2015年)、専門家による検討作業部会を結成。4回の会合を経て、昨年12月に報告書をまとめ、特に国民に伝えたい19のメッセージを公表した。
同委員会が特に強調しているのは主に二つの注意点だ。


一つは、カプセルや錠剤のようなサプリメントの形で特定の栄養素を摂取する際の過剰摂取による健康被害のおそれだ。

例えば、ビタミンA、目や皮膚の健康維持に必要な栄養素だが、脂溶性のため、体内に蓄積されやすい。
妊婦が過剰に摂取すると胎児に奇形が生じるリスクがある。


また、妊娠を予定している女性が新生児の背骨の障害(神経管閉鎖障害)を防ぐため、ビタミンB群の葉酸の摂取が勧められているが、葉酸を摂取する目的でいろいろなビタミンを含むマルチビタミン剤を摂取すると結果的にビタミンAを取り過ぎてしまうリスクも生じる。

 

健康によい量と毒性が生じる量の幅が狭いセレンの場合では、過剰摂取で下痢、脱毛、関節の痛み、記憶障害などの被害が見られたという米国の報告もある。

 

姫田尚・同委員会事務局長は「日本で通常の食生活をしていれば、ビタミンやミネラルが不足することはまれだ。 ビタミンなどを必要以上に取っても健康にプラスになることはない」と栄養素が濃縮された錠剤や顆粒、カプセルでの摂取に注意が必要と話す。


●有効性の証明なし

もう一つは、健康食品は医薬品と異なり、長期間の摂取で有効性や安全性が確実に証明されたものが極めて少ないという点だ。

 

例えば、抗酸化作用のあるビタミンEなどのビタミン類を摂取しても、心血管疾患やがんの予防効果はない。
高齢者の間で広く摂取されているカルシウムも骨折の予防になる確かな研究報告はない。


逆に48歳の日本人女性がカルシウムやビタミンC、Dのサプリメント、便秘薬を長く摂取していて、重い腎機能障害を起こした例がある。
子どもや妊婦のサプリメント摂取は特に要注意だ。


●体調の変化を記録

報告書では、サプリメントを摂取する場合は、いつ、どの会社の製品をどれくらい摂取し、体調がどう変わったかを毎日、日記に記録することを勧めている。
何か異常があれば、早めに受診することが必要だ。


さらに摂取の際は医師、管理栄養士、薬剤師、健康食品の作用などに詳しいアドバイザリースタッフに相談することも大事だ。

 

佐野洋・同委員会委員長(医師)は「健康食品の健康効果を長期間にわたって調べた科学的な研究はほとんどない」と述べ、健康維持の基本はバランスのよい食事、適度な運動と睡眠、休養だと強調している。{小島正美}


◆食品安全委員会が公表した「健康食品に関する19のメッセージ」

<1>
食品でも安全とは限らない
<2>
食品だから、たくさん取っても大丈夫と考えてはいけない
<3>
同じ食品や成分を長くとった場合の安全性正確には分かっていない
<4>
健康食品として販売されているからといって安全とは限らない
<5>
「天然」「自然」「ナチュラル」は科学的に安全を意味するわけではない
<6>
健康食品として販売されている「無承認無許可医薬品」に注意する
<7>
通常の食品と異なる形態の健康食品に注意する
<8>
ビタミン、ミネラルのサプリメントによる過剰摂取リスクに注意する
<9>
健康食品は医薬品並みの品質管理がなされていない
<10>
高齢者、子ども、妊婦、病気の人が健康食品を取ることには注意が必要
<11>
病気の人が取るとかえって病状を悪化させる健康食品がある
<12>
医薬品を服用している場合は医師や薬剤師のアドバイスを受ける
<13>
健康食品は薬の代わりにならず、医薬品の服用を中止しない
<14>
ダイエットや筋力増強効果を期待させる食品には特に注意が必要
<15>
健康寿命の延伸の効果を実証された食品はない
<16>
科学的に確かな情報かを見極めて摂取を判断する
<17>
健康食品を取るかどうかは「分からない中での選択」だと考える
<18>
摂取する場合はいつ、どれくらい摂取したかや体調変化などを記録する
<19>
健康食品を摂取していて体調が悪化したら、摂取を中止し、因果関係を考える